- 1 仕事中、肩の重だるさやズキッとした痛みで集中できない。帰る頃には首までガチガチで、夜も眠りが浅い…。
- 2 この記事で分かること
- 3 1. なぜデスクワークで肩が痛くなるの?【仕組みをやさしく】
- 4 2. 今日からできる「正しいデスクセットアップ」チェックリスト
- 5 3. 45分働いたら2分だけ動く「ミニ休憩プロトコル」
- 6 4. 職場でこっそりできる「即効ミニ体操」3つ(痛み0〜3/10)
- 7 5. マウス肩・利き手肩を守る「負担分散テク」
- 8 6. あるとラクな小物3選(家にあるものでOK)
- 9 7. 夕方以降がつらい人へ:夜の痛み対策への橋渡し
- 10 8. 受診を考えるサイン(安全のための目安)
- 11 よくある質問(Q&A)
- 12 参考文献(エビデンスとガイドライン)
- 13 おわりに——うまくいかない日があっても大丈夫
仕事中、肩の重だるさやズキッとした痛みで集中できない。
帰る頃には首までガチガチで、夜も眠りが浅い…。
臨床でよくあるのが、ご本人は「そこまで前かがみじゃない」と思っているのに、横から写真を撮って一緒に見ると
頭が画面に寄っている/肩がすくんでいる/前腕が浮いている
…など、自覚以上に姿勢が崩れているケースです。「え、こんなに?」と驚かれる方が本当に多い。人は主観だけでは自分の姿勢を正確に捉えにくいんですね。
でも、あなたが弱いわけでも、根性が足りないわけでもありません。
「環境」と「使い方」を少し整えるだけで、肩はぐっとラクになります。
この記事では、整形外科領域を担当してきた作業療法士の視点で、**今日からすぐできる“現場対応”**を中心にまとめます。拾い読みOK。まずはできそうなところを1つだけ取り入れてみてください。
※本記事は一般的な情報提供です。痛みが強い/しびれがある/2週間以上続く場合は、医療機関にご相談ください。
この記事で分かること
- 肩が痛くなる理由(前突頭位・前腕未支持・画面高不一致)
- 正しいデスクセットアップ:椅子/机/モニター/マウスの基準値
- 45分→2分リセット:血流を戻すミニ休憩プロトコル
- 即効ミニ体操:肩甲骨スライド/チンタック/安全なストレッチ
- マウス肩の分散テク:ショートカット・デバイス配置・左手化
- 身近な小物で改善:薄タオル・足台・軽量マウスの使い方
- 受診の目安と、夜の肩の痛み記事への導線
1. なぜデスクワークで肩が痛くなるの?【仕組みをやさしく】
- 前かがみ+腕の固定:頭の重さ(約5kg)を首〜肩が支えっぱなし。前腕が浮くと肩前面〜肩甲骨に負荷集中。
- 同じ姿勢が長時間:30〜60分座りっぱなしで血流低下→筋疲労→硬さ。
- 高さ不一致:目線・肘・手首の高さがバラバラだと、肩すくみ/首前突が固定化。
一言ポイント:肩の痛みは「姿勢だけ」ではなく、机・椅子・画面・腕の支えの“チーム戦”。道具を合わせる=肩の仕事を減らすが本質。
2. 今日からできる「正しいデスクセットアップ」チェックリスト
2-1 椅子と座り方
- 座面高:膝・股関節が90°前後/足裏全面接地(届かなければ足台)。
- 骨盤を立てる:深く座り、腰の隙間に薄いタオルで軽くサポート。
- 肘置き:肘90〜100°で肩がすくまない高さ。なければ机に前腕を預ける。
2-2 机・キーボード・マウス
- キーボード:ホームポジションで肩脱力&肘90°。手首は反らさない(薄い手首レスト可)。
- マウス:キーボードすぐ横。腕を外へ開かない位置。軽量マウスやショートカットで回数削減。
- テンキー問題:右側テンキーでマウスが外に流れる人はテンキーレスへ。
2-3 モニター
- 目線=画面上端、距離は手のひらが届く(約50〜70cm)。
- ノートPC勢:画面とキーボードの高さ両立は不可→PC台+外付けキーボードが最適解。

3. 45分働いたら2分だけ動く「ミニ休憩プロトコル」
45分ごとに2分動くを目標に(アラームで習慣化)。
例(計2分)
- 立って肩を後ろへ10回大きく回す
- 両手を机に置いて胸をひらく×5呼吸
- 給湯室へ歩く/水を飲む(歩行=血流UP)
ずっと座る<こまめに崩す。完璧より継続。
4. 職場でこっそりできる「即効ミニ体操」3つ(痛み0〜3/10)
4-1 肩甲骨スライド(背もたれ座位)
- 背もたれに軽くもたれて座る。
- 肩甲骨を背中に寄せながら後ろポケットへ入れるイメージで下にも引く→戻す。
- 10回×2セット。
狙い:肩甲骨で腕を支える感覚の再学習。
4-2 チンタック(首前出しリセット)
- 目線はそのまま、アゴだけ後ろへ軽く引く。
- 後頭部が壁やヘッドレストにそっと触れるくらい。
- 3秒×5回。
狙い:前突姿勢のリセット、首〜肩の負担軽減。
4-3 肩の後ろストレッチ(クロスボディ)※前肩痛が出たら中止
- 片腕を胸の前に水平へ。
- 反対の手で肘を抱え、肩の後ろがじんわり伸びるところで20秒×2回。
⚠ 肩の前にツーンと痛む人はやらない
5. マウス肩・利き手肩を守る「負担分散テク」
- ショートカット(Ctrl/⌘+C/V/Z、ウィンドウ切替)
- スクロール量削減(目次・検索Ctrl/⌘+F)
- 利き手交代マウス(一時的に左手へ/左右切替設定)
- 長距離ドラッグはトラックパッドに切替
- 音声入力でキー数削減(文章量が多い人ほど恩恵)
6. あるとラクな小物3選(家にあるものでOK)
- 薄いタオル:腰サポート/手首レスト/肘下クッション。
- 足台:冊子や空き箱でも可。足裏が床に着くだけで肩が下りる。
- 軽量マウス:つまみ持ち・長時間操作の負担を軽減。
7. 夕方以降がつらい人へ:夜の痛み対策への橋渡し
- 帰宅後は入浴で温め→やさしい運動が効果的。
- 寝方は仰向け+腕下クッション、横向き派は痛い肩を上+抱き枕が基本。
👉 くわしくは:肩が痛くて夜に眠れないあなたへ(対処法・寝方・受診目安)https://karadacarepedia.com/shoulder-night-pain/
8. 受診を考えるサイン(安全のための目安)
- 夜も痛くて何度も目が覚める日が2週間以上
- 腕が肩の高さまで上がらない/服の着脱や背中に手が回らない
- しびれや力が入りにくい
- 腫れ・赤み・熱感がはっきり
- 転倒・ぶつけた後から痛みが強くなった
→ 腱板損傷、石灰沈着性腱炎、強い炎症などの可能性。早めに整形外科へ。
よくある質問(Q&A)
Q. どの体操から始めればいい?
A. チンタック+肩甲骨スライドの2つ。合計1分でOK。慣れたらクロスボディ(前痛が出る人は中止)。
Q. どのくらいの頻度でやる?
A. 45分ごとに2分のミニ休憩。体操は1日合計5〜10セットを“細切れ”で。
Q. デスク周り、全部そろえないとダメ?
A. 1つずつでOK。効くのは「前腕を机に預ける」「モニター上端=目の高さ」「足裏べたっと」の3点。
参考文献(エビデンスとガイドライン)
肩・夜間痛・睡眠の関連
- Mulligan EP, et al. Sleep quality and nocturnal pain in patients with shoulder disorders. J Shoulder Elbow Surg. 2015;24(9):1452–1457.
- Austin L, et al. Sleep Disturbance Associated With Rotator Cuff Tear: Correction With Arthroscopic Rotator Cuff Repair. Am J Sports Med. 2015;43(6):1455–1459.
- Longo UG, et al. Arthroscopic Rotator Cuff Repair Improves Sleep Disturbance. IJERPH. 2021;18(7):3797.
- Cho CH, et al. Shoulder pain ≥3 months and sleep disturbance. J Shoulder Elbow Surg. 2013;22(2):222–228.
- 武田大輝ほか. 肩関節疾患における夜間痛の関連因子—腱板断裂の有無に着目して. 臨床整形外科. 2019;54(10):1031–1035.
- 廣瀬聰明ほか. 腱板断裂患者の夜間痛—アンケート調査ならびに肩峰下圧測定—. 肩関節. 2003;27(2):259–262.
デスクワーク/エルゴノミクス
7. Waersted M, Hanvold TN, Veiersted KB. Computer work and MSD of the neck/upper extremity: a systematic review. BMC Musculoskelet Disord. 2010;11:79.
8. ISO 9241-5: Ergonomic requirements for office work with VDTs—Part 5: Workstation layout and postural requirements.
9. OSHA eTool: Computer Workstations — 画面高・入力機器配置・休憩推奨など。
これらの情報と臨床経験を組み合わせ、安全性を優先して再構成しています。強い痛みやしびれ、長期化は受診を推奨します。
おわりに——うまくいかない日があっても大丈夫
「姿勢を直しても続かない」「忙しくて体操どころじゃない」——臨床でも、そんな声をたくさん聞いてきました。
それでも大丈夫。今日できることをひとつだけで構いません。前腕を机に預ける/モニターを目の高さへ/45分ごとに2分だけ立つ…
小さな一つが、痛みの波を少しずつ穏やかにします。
もし強い痛み・しびれ・長引く症状があるときは、我慢せず医療機関へご相談ください。
この記事が、あなたが“仕事を続けながらラクになる”ための伴走になれば嬉しいです。焦らず、すこしずつ、一緒に整えていきましょう。